SCWの衛星画像

雲海が予測できる衛星画像

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上記リンクから画面右下が「予測」のときは「観測」に切り替えて表示させます。

SCWの衛星画像の特徴

  • 日中は解像度の高い可視画像を使用し、夜間は赤外画像を使用。
  • 従来の赤外画像で判別が難しい低層雲を水色に着色。
  • 赤外データ処理を高度化し、従来表示されていない雲を表示。
  • ひまわり8号の解像性能を最大限引き出します。
  • 可視画像データ処理を高度化し、地上で見える色に補正。

1.従来の赤外画像で判別が難しい低層雲を水色に着色

図1 図2

従来の赤外画像は輝度温度の高いところを黒、低いところを白で表示しているため、雲頂高度が数百メートル以下の層雲は黒に近い色で表示されていて判読が困難でした。これを解消するため、SCWの衛星画像では低層雲を水色に着色しています。

図の例では、比較的雲頂高度の高い地点Aは赤外画像で判別できますが、雲頂高度200m程度(*)の層雲のある地点Bでは、赤外画像でほどんど判別できません。SCWでは地点Bの雲が容易に識別できます。

(*)図3 SCWの雲観測マップで雲頂高度200~300m、また、地点Bの低層雲は雲の無い部分を取囲む形状になっていますが、雲のない領域の中心には松音知岳があって、それを囲う2本の谷の標高は50mで、標高200mの等高線に雲頂が沿う形状となっていて、雲頂は200m前後と判断できます。

図3

注意点:地点Cのように雲観測マップで誤判定され識別されていないが、衛星画像で判断できる雲がある。他にも、雲観測マップは積雪を雲と誤判定する場合などがあるので、衛星画像と雲観測マップを相互に補って判断する。

2.赤外データ処理を高度化し、従来表示されていない雲を表示

従来の赤外画像で表示されていないなかった雲が表示されます。

図4 図5

3.可視画像データ処理を高度化し、地上で見える色に補正

青い光は大気中でより多く散乱するため、人工衛星から地球を見ると青く見えます。この青い光を補正し、地上で見られる色と同じ色合いで表現します。

図8 図9

4.ひまわり8号の解像性能を最大限に引き出します

1km精度で雲や地形の構造が視認できます。川幅1kmの河川や、直径1kmの諸島などを見ることができます。

5.範囲

衛星は東経140.7度、赤道上の高度約35,800kmにあります。おおよそ東経70度~215度、西はインド、ネパールから東はハワイ諸島までが表示される範囲です。

図10 ネパール・チベット・インド周辺 図11 ネパール(ヒマラヤ山脈) 図12 ハワイ諸島 図13 ハワイ諸島(拡大)

6.低層雲(層雲・雲海)の予測

SCWの赤外画像は、詳細モデルで予測されない約500m未満の低層雲(*)の予測に用いることができます。

盆地や谷間などの周辺の尾根より低い高度の雲は、風が弱い場合移動しないため、太陽が高くなり気温の上昇で消失していくまでのあいだ雲がかかることを予測することができます。

衛星画像(または雲観測マップ)では図14の赤破線箇所のように、高度約500m未満の詳細・局地モデルの予報で予測されない雲を確認することが出来ます。午前0時に発生している赤破線箇所Aの雲は周辺の尾根より低く谷と同じ形状をしていること、予報モデルで午前9時頃まで風が弱いことから移動しないことが予測できます。一方赤破線箇所Bの雲は観測マップの雲頂高度から周辺の尾根より高いことや、前の時間の衛星画像から移動していて留まることがないと予測できます。午前9時半ころ図18のように赤破線箇所Aの層雲は日が昇り気温上昇とともに消失していきます。

春と秋の午前9時ごろまでの時間帯は、詳細・局地モデルで予測されない約500m未満の低層雲の発生が多いため、衛星画像を併用することで雲量の予測精度を高めることができます。また、谷の地形と同じの形状の層雲を探すことで高い確度で雲海を見つけることができます。

(*)広域・詳細・局地モデルの雲量は、上層:100-500hPa(高度約16,000-5,500m)、中層:500-850hPa(高度約5,500-1,500m)、下層:850-940hPa(高度約1,500-500m) 3層の全雲量を表示しています。下層の下限500m未満の低層雲は表示されていません。

図14 午前0時00分 図15 午前5時30分 図16 午前6時30分 図17 午前8時30分 図18 午前9時30分

更新時刻等

SCWにおける更新時刻 毎時09, 19, 29, 39, 49, 59分
観測から更新までの処理時間 19分
時間間隔 24時間前まで:10分 24時間前~7日前:1時間
閲覧期間 有料会員:7日前~最新
有料会員以外:9時間前~3時間前(過去と最新データの閲覧は制限されます)
水平解像度 昼間1km 夜間2km

・レイリー散乱補正が最も処理負荷が高いため、南中時刻のころ処理時間が長く、夜間は数分程度短い時間で更新されます。

・過去のデータは欠損する場合があります。

・春分期(2月~4月)及び秋分期(8月~10月)の午前0時ころ、太陽と衛星カメラの位置の関係で画像の一部が黒く欠けることがあります。

・11:50と23:50の画像は衛星軌道の制御のため観測が休止され欠損する場合があります。

・地表面温度が低い等のときには、雲がなくても水色やグレーのカラーで表示される場合があります。時間的変化や雲観測マップを併用して判断します。

・衛星画像は補正や全球の高解像度データ処理など負荷の高い処理を行っているため、更新時刻が雲観測マップより約10分遅くなっています。速報性が必要な場合は雲観測マップをご利用ください。

雲観測マップ

雲観測マップでは雲形と雲頂高度を提供します。

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上記リンクから画面右下が「予測」のときは「観測」に切り替えて表示させます。

雲観測マップは3つの要素からなります。

1.塗潰域 7種類の雲形がそれぞれの色で表示されます。
2.等値線 雲頂高度を表します。等値線に表示される数値の単位はメートル。
3.ドット 黒ドットは雲混じり域、緑ドットはダスト、白ドットは積雪域を表します。

1.塗潰域 7種類の雲形


雲観測マップの7種類の雲形と十種雲形の対応

名称 記号 雲形マップ 高度
上層雲 巻雲 Ci (1) 5,000~13,000m
巻積雲 Cc (1)
巻層雲 Cs (1)
不透明上層雲 - (5) 雲頂高度~13,000m 十種雲形に該当なし
中層雲 高積雲 Ac (6) 2,000~7,000m
高層雲 As (6)
乱層雲 Ns (6)
下層雲 層雲 St (4) 地表付近~2,000m
層積雲 Sc (3)
対流雲 積雲 Cu (2) 600~6,000m またはそれ以上
積乱雲 Cb (7) 雲底は下層にあり、雲頂は上層まで発達している。~12,000m
小倉義光(1984)『一般気象学【第2版】』 東京大学出版会.

(0)晴天域

雲のない状態は黒で表されます。

快晴

(1)上層雲

上層雲で半透明なものがで示されます。巻雲、巻積雲、巻層雲が対応します。

上層雲 ― 巻雲 (Ci) 上層雲 ― 巻積雲 (Cc) 上層雲 ― 巻層雲 (Cs)

(2)積雲

積雲は対流によって発生し下層にあります。上昇流(サーマル)が生じているところに積雲があります。上昇流と上昇流の間には下降流があり、その部分には雲はありません。上昇流と下降流が短い間隔で並ぶため、雲量が100%になることはありません。

対流雲 ― 積雲 (Cu)

(3)層積雲

積雲と層雲の中間でで示されます。

下層雲 ― 層積雲 (Sc)

(4)層雲

雲は滑らかで隙間はあまりありません。で示されます。

下層雲 ― 層雲 (St) 下層雲 ― 層雲 (St)

(5)曇天域(不透明上層雲)

十種雲形の上層雲は厚みがなく半透明なため、不透明上層雲が対応するものはなくそれらと異なります。不透明上層雲は厚みのある中層雲の雲頂が上層に達しているものと考えられます。

(6)中層雲

十種雲形の高層雲、高積雲および、乱層雲が対応します。で示されます。

中層雲 ― 高積雲 (Ac) 中層雲 ― 高層雲 (As) 中層雲 ― 乱層雲 (Ns)

(7)積乱雲

積乱雲が観測された場所はが示されます。

対流雲 ― 積乱雲 (Cb)

2.等値線 雲頂高度

雲頂高度を表します。等値線に表示される数値の単位はメートル。

雲形の等値線は100~1000mまでの黄色からオレンジの線は100m間隔
1000~20000mまでのオレンジ~紫~マゼンタ~赤の線は10000m間隔

雲量の等値線は0~15000mまでの黄色~オレンジ~紫~マゼンタ~赤の線で1000m間隔

3.ドット

黒ドットは雲混じり域を表す。雲観測マップの精度は1kmとなるが、1km以下の領域において雲のある部分と無い部分が混在していることが解析された場合、雲混じり域であるとして、黒ドットを表示している。

緑ドットはダスト、白ドットは積雪域を表す。

表示例

地点 A.

地点Aの色は(1)上層雲で半透明なものである巻雲か巻積雲、または巻層雲と判断できます。雲頂高度1000m以上の等値線間隔は1000mであること及び等値線の値(10000)から雲頂高度は10,000~11,000mであることがわかります。また黒ドットが表示されており雲まじり域です。

地点 B.

地点Bの色は(2)積雲。等値線の値(200及び300)から雲頂高度は200~300mであることがわかります。また、黒ドットから雲まじり域と判断できます。

地点 C.

地点Cの色は(3)層積雲。地点Bと同様、雲頂高度は200~300m。雲まじり域。

地点 D.

地点Dの色は(4)層雲。雲頂高度1000m以下の等値線間隔は100mであること、等値線の値(700)から雲頂高度は700~800mです。

地点 E.

地点Eの色は(5)曇天域(不透明上層雲)であり、雲には厚みがあり不透明で雲頂が上層に達している。雲底は判断できないが下層から中層の範囲にあると考えられます。等値線間隔が1000mであること及び等値線の値(10000)から雲頂高度は9,000~10,000mです。

地点 F.

地点Fの色は(6)中層雲で十種雲形の高層雲か高積雲、または乱層雲と判断できます。等値線の値(3000, 5000)から雲頂高度は4,000mです。

更新時間等

SCWにおける更新時刻 毎時 08, 18, 28, 38, 48, 58分
水平解像度 1km
※雲域の範囲に応じ雲形判別と高度算出の処理時間が変動するため更新時刻が数分程度遅くなる場合があります。
※観測システムのメンテナンスのため 11:50, 23:50及びその他時刻の更新が行われない場合があります。

局地モデル

局地モデルでは2kmメッシュの雨量・雲量、気温・湿度、気圧・風速の予測図が提供されます。凡例はGPV気象予報の詳細モデルと同様です。

SSI

SSI(Showalter stability index; ショワルター安定指数)

SSIは高度約5,500mの大気の温度T500と、高度約1,500mの大気を約5,500mに乾燥断熱または湿潤断熱で強制的に持ち上げた空気塊の温度TPとの差、すなわちSSI = T500-TPのことをいいます。 SSI = 0の場合、T500=TPで、約5,500mの大気と持ち上げた空気塊の密度差はなく、浮力も発生せず安定した大気の状態です。SSI > 0の時は、T500 > TPで持ち上げた空気塊の密度の方が大きく、これも浮力は発生せず安定した大気の状態です。 SSI < 0の時、T500 < TPということになり、持ち上げた空気塊の密度が約5,500mの大気の密度より小さいため、浮力が発生することになります。この浮力が大気の対流を生じさせる駆動力となるため、大気の状態が不安定となります。 SSIは値が小さい程、大気が不安定であることを表します。
大気が不安定になるパターンとしては、上空に寒気が入った場合(T500が小さい)や、強い日射で地表付近の大気温度が上げられた場合(TPが大きい)などがあります。

雨量雲量図で負の小さい値のSSIが表示されているときは、雨量雲量図で雲量や雨量が予測されていない場合でも、対流性の雲(積雲・積乱雲)が発達し、局所的に、短時間強雨、局所的な雲、また突風が発生する場合のあることが予測できます。

SSI Description
0 安定
-3 雷雨の可能性あり
-6 激しい雷雨の可能性あり
-9 激しい雷雨の可能性大

なお、雨量雲量図SSI表示は図が煩雑になることを防ぐためSSI= 0, -3, -6, -9 のみ等値線を表示しています。詳細はGPV気象予報のSSI表示を参照して下さい。

操作方法

「雲観測マップ(雲形・雲頂高度)」はSCWの画面右下「予測」を「観測」に切り替えて表示させます。

  • 画面右半分をタップまたはクリックすると予報時間が進み、左半分のタップで戻る。
  • 最新の情報はブラウザの更新ボタンを使用して取得する。
  • 画面左上「設定」の「map type」で地図の種類を変更できる。
  • 画面左中央に表示されている赤半透明のステータス表示は「設定」から表示または非表示を選択できる。